2023年実施キャンプ ダイジェスト
※2023年度のキャンプは「島流しキャンプ」という名称で実施しました。
島流しキャンプ in 隠岐の島
〜予想を上回る大成功、隠岐の島のDNAを実感!〜
8月24日(木)〜26日(土)、皆様のご支援により、学校に行かない子供たちを応援する「島流しキャンプ in 隠岐の島」を開催しました。改めまして、心からお礼申し上げます。
キャンプに参加したのは、関東地方、中国地方の3組4名の子供たちと保護者の皆さん。
募集期間中は参加者が少ないことを残念に思っていましたが、実際にやってみると、少人数だからこそ関わりが密になり、むしろこの人数で良かった、5名程度までが一番良いかも!と感じています。
参加者4人とも、申込はしたものの正直「あまり行きたくない」と思っていたようです。
そんな4人が、キャンプ初日の夜にはもう笑顔にあふれ、3日間とても元気に隠岐の島を満喫することになりました。最終日には、涙を流しながら「また来ます」と叫ぶ姿も。
「こんな元気な姿を見るのは、保育所の頃以来です。」
「今まで見たことのない姿を見せてくれた。子供のことを知る機会になった。」
「キャンプに参加して本当に良かった。親としても大きな学びだった。」
「島の皆さんとの交流が心に響いた。第二のふるさとになった。」
保護者の皆さんは、子供たちの変容に驚き感激していらっしゃいました。
しかし、彼らは「変わった」訳ではないんです。
隠岐の島の自然や島の人々の温かさ、我々が言う「島のDNA」に触れ、もともと彼らの中にある情熱や生きるエネルギーが再燃しただけなんですよね。
自分にはこんな一面があるんだ!自分はこんなことができるんだ!こんな楽しみ方をしてもいいんだ!。。。活動を通してたくさんの発見をし、自信をもつ機会になったのです。
この活動はこれからも続けなければならない、意義のある活動だと確信しました。
<8月24日(木):第1日目>
お昼頃、それぞれの交通手段で隠岐の島に到着した子供たち。その表情は、周りにいるたくさんの観光客とは違っていました。
うつむきがちで、スタッフの挨拶にも言葉もなく会釈だけ。
スタッフの前でもゲームをし、関心のない素振り。
我々スタッフも、正直少しだけ心配な気持ちになりました
そんな子供たちが、わずか2日であんなにも素敵な笑顔を見せてくれるんて、その時は想像さえできませんでした。
少し固いムードの中、会場の都万キャンプ場へと向かいました。
参加者は関東から来た唯一の女の子Aさん(中1)、中国地方からBくん(小6)、そしてCくん(中1)・Dくん(小5)兄弟の4名です。(文中ではAさん、Bくん、Cくん、Dくんと表現させていただきます)
【オープニング】
〜差し入れの魚で雰囲気が一転!〜
初めて顔を合わせた参加者とスタッフ。
何をどうしたらよいかも分からず、言葉も交わさずただ立っている子供たち。
我々は、自己紹介をしてその場を和ませる計画をしていました。盛り上げようとしてもなかなか雰囲気は良くなりません。。。
そんな中、その場の雰囲気を一転させたのは、隠岐の島在住の漁師さんが差し入れしてくれた2匹の大きな魚でした。
クーラーボックスを開けた途端、大きな歓声が。「こんな魚見たことない!」って、触ったり持ち上げたり。
島のお母さんたちに教えてもらって、男の子たちが魚のうろこを取り、腸を抜いてきれいにおろしました。もちろん初体験!
「今夜のバーベキューで食べよう!刺身も食べたい!」
子供たちが「島のDNA」に触れ、自分らしさを見せた瞬間でした。
【竹ランプつくり】
〜ドリルを使って夢中で製作〜
魚をおろした後、一つ目のワークショップ「竹ランプつくり」に取り組みました。
キャンプ場のテントの周りを素敵な灯りで飾ろうと、切り取った竹にドリルで穴を空け、その中に電球を入れる竹ランプを作製します。
長年竹ランプ作りをしているリカさんに教えてもらいながら、慣れない手つきでドリルで穴を開けます。
だんだんと集中していく子供たち。
保護者の皆さんも夢中になって製作しました。
きれいな模様ができると、もっと素敵な作品にしたいと創作意欲が湧き上がります。
完成した竹ランプに、みんな満足。(自宅へ持ち帰った参加者もいました)
テントサイトに飾った竹ランプの灯りは、とても優しくきれいでした。
【テント立て】
〜初めての作業に四苦八苦〜
キャンプで宿泊するテントを立てました。海洋スポーツセンターの石川さんに教えてもらいながら、芝生の上にテントを立てます。
スタッフを含めテントを立てるのはみんな初めて(^_^)、相談しながら四苦八苦してようやく完成!
この頃には、子供たちの表情もずいぶん柔らかくなっていました。
【シーカヤックに挑戦】
〜自分から海に飛び込み 大はしゃぎ(^_^)〜
少しずつ陽が傾き始め、西日が海の水面をキラキラと輝かせる中、4人の子供たちはシーカヤックに挑戦しました。
男の子たちは海で遊べるのが嬉しくて、カヤックに乗る前から大はしゃぎ。隠岐の島に上陸した直後のあの表情はなんだったんだ?と思いました。
インストラクターの齋藤さん、石川さんにカヤックの使い方を習ってさっそく海へ!
潮の香りと海の心地よい風が気持ちを優しくしてくれます。
初めてなのにどんどん遠くへこぎ出す子供たち。
でも、唯一の女の子Aさんは海で泳ぐことは好きじゃありませんでした。出発前に「海遊びはしたくないと言っているが、いいでしょうか?」と保護者の方から問い合わせをいただいたくらいです。
なのに、そのAさん、数分後には海の上でした。そして男の子たちと一緒に海の中へ落ちて結局海遊び。ジャージのまま海の中(^_^)。
Aさんにとって、一歩を踏み出した瞬間だったかもしれません。
【夕食はバーベキュー】
〜島の皆さんとの交流に保護者の皆さんも感激〜
この日の夕食はバーベキュー。
実は、このキャンプの食事を準備したのは我々一般社団法人アナザーステージではありません。この取組に賛同してくださった隠岐の島の有志の皆さんが、チームを作って食事の準備にあたってくださいました。これが「島のDNA」。だからこそ隠岐の島でやる意味があるのです。
中心になって食事の計画をしてくださったのは都万のはーみさん。ご自身も教育に関して色々な思いや経験のある方で、参加者の保護者の皆さんとお話をすることをご自身もとても楽しみにしていらっしゃいました。
はーみさんが声をかけてくださり、たくさんの島のお母さんたちが集まり、食事の準備をしてくださいました。この方々がいらっしゃらなかったら、アナザーステージのキャンプはレトルト食品で3日間を過ごす羽目になっていました(^_^) 本当に感謝しています。
キャンプサイトで行うバーベキューには様々な食材が並びました。
おいしいお肉やウインナーだけでなく、マキマキさんが持ってきてくださった大きなタイとブリ、たくさんのサザエや、はーみさんたちが準備してくれたおにぎりなどなど。
タイの頭をそのまま焼いた兜焼きやブリのカマ焼きは、隠岐にいてもなかなか食べる機会はありません。
子供たちの保護者の皆さんも、隠岐のバーベキューに舌鼓を打ちました。
そして特筆すべきはそこに集った人々。参加者とスタッフだけではありません。
キャンプの趣旨に賛同してくださったボランティアのお母さん方、話を聞いて駆けつけてくれた隠岐の島の人々。
私たちでさえ初めて出会った人が、そこに集い、一緒に語り合いました。
保護者の皆さんの思いを聞き、励まし勇気づけるベテランママさん。
一緒に涙を流しながら、子育てについて語るおかあさん。
これからの教育について語り合う島の住人と大学生ボランティア。
この居心地の良い雰囲気の中で、子供たちは少しずつ自分の気持ちなどを語るようになりました。自分らしさを徐々に表現するようになっていきました。
バーベキューも終わり、参加者が帰った後も、子供たちの夜は終わりませんでした。
海遊びが嫌だったはずのAさんは、始めはテントで寝ることも嫌がっていました。それなのに海ではしゃぎ、バーベキューで語り、そして「やっぱりテントで寝る」と。
アナザーステージのスタッフ有澤と一緒に、結局2晩ともテントで過ごしました。(男の子たちは2日目は「テントは暑い」といってログハウスで寝たので、2日ともテントで寝たのはAさんだけ!)
男の子たちは、大学生スタッフや島の人たちと夜中までお話をして過ごしました。
その日の昼までは下を向き、笑顔も見せず、ゲームを話さなかった男の子たちが、スタッフや大学生と楽しそうに話をする姿は、正直涙無しでは見ていられませんでした。
この子たちが、こんな笑顔を見せたのは、いつぶりでしょう?
この子たちが、こんなに自分のことや気持ちを語るのは、いつぶりでしょう?
この子たちの本来の姿に触れることができたのが嬉しかったです。
<8月25日(金):第2日目>
2日目の朝。
みんな眠そうな目で起きてきました。遅くまでお話ししてましたもんね(^_^)
朝ご飯は、大学生スタッフと一緒に自分たちで朝ご飯を作りました。
夕べのバーベキューで残った食材などを使って思い思いに料理。
この日の午前中はフリータイム。
海で遊んだり、おしゃべりしたり。
大学生スタッフと一緒に楽しく過ごしました。
保護者の皆さんは、食事を世話してくださったはーみさんと佐藤さんと一緒に、隠岐の島ドライブ。これは我々が決めた計画ではなく、はーみさんたちが考えてくれたオプション(^_^) 二人の案内で島内の観光名所などを巡り、お昼は隠岐の島ならではのランチを楽しみました。
はーみさんと佐藤さんの粋な計らいに大感謝です。
【けん玉ワークショップ】
〜ハマる人続出、けん玉検定も実施!〜
第2日目の一つ目のワークショップは「けん玉」
隠岐の島在住のけん玉パフォーマー 森 欣空(もりきんぐ)くん(隠岐水産高校2年生)が弟子の小学生カズキくんを引き連れて、けん玉を教えに来てくれました。
キングくんのプロフェッショナルなパフォーマンスを披露してもらった後、けん玉検定の技に挑戦。審査員の資格をもつキングくんが認定試験までやってくれました。
初めてけん玉に触る子もいましたが、やっているうちにだんだんのめり込んでいく感じ。スタッフも一緒になってけん玉検定に挑戦しました。
けん玉6級にみごと合格する人も! やみつきになりそうです。
【TOKIさんの音楽ワークショップ】
〜TOKI Talk & Live これからの学びって?〜
このキャンプのゲストは広島県三次市在住のミュージシャンTOKIさん(清水十輝さん)
代表理事の渡部が運命的に出会ったミュージシャンです。
彼は広島県で育ちましたが、父親がアメリカ人であることもあって、アメリカではよく知られている「ホームエデュケーション」という学び方をしており、公立の学校にはまったく行っていません。中学校の卒業式の時に卒業証書をもらっただけだそうです。
彼がこれまでの自身の生き方や経験から、これからの教育についてみんなで考えるワークショップを行いました。
体育館に集まり、お互いの考えをシェアリングしながら、これからどんな風に学んでいったら良いかといったことについて考えました。
ワークショップの最後では、みんなで輪を作って座り、一人一人の生の思いを言葉にしました。子供たちはなかなか本音で語ることは難しかったようですが、スタッフや保護者の皆さんの中には、心の中にあるものを吐露し、涙する人もいました。(私もでした)
【夕ご飯はサザエカレー】
〜すべて隠岐の島の皆さんが準備してくださいました。感謝!〜
2日目の夕ご飯はカレーライス。しかも隠岐ならではのサザエカレー!。
またしても島の皆さんが集まって、みんなのために準備してくださいました。集まってくださった皆さんもとっても楽しそう。だれかに頼まれて仕方なくやっている方は一人もいらっしゃいません。みんな楽しくて仕方ないっていう感じ。これが「島のDNA」、本当に嬉しいです。
ログハウスでみんなでいただきました。
【夜は「TOKI Live "BEATS on BEACH"】
〜学校に行かない子供たちを応援するライブを島から全国へ配信〜
カレーライスでおなかがいっぱいになった後は、キャンプのメインイベントとも言えるTOKIさんのライブ。
学校に行かない全ての子供たちを応援する歌を、隠岐の島からYouTubeライブ配信で発信していこうというもの。
本当は外で開催する予定だったのですが、海洋スポーツセンターの齋藤さんが特別にセンターの2階を会場として使わせてくださいました。ありがとうございました。
YouTube配信を無償でお手伝いしてくださったのは、福岡から移住してきたジャーニーさん(山田コウタさん)。アナザーステージの理事である山田ショウタくんのお兄さんで、彼も学校には行かなかった人です。テレビ番組などを手がけていましたが、今は隠岐の島に移住し、ライブ配信の依頼などを受け、全国を飛び回っている実力者です。
隠岐の島の人たちのこのライブを応援しようとたくさん集まってきてくださいました。
TOKIさんの歌、ホントいいです!
「学校には行きたくなくなった」という曲は、学校に行かない子供たちの心を代弁してくれているようで、涙が出ます。
ライブの最後は参加者全員で「学校には行きたくなくなった」を大声で合唱しました。
決して学校には行かなくても良いってことを強調する歌ではありません。学校に行きたくなくなった子供たちの心を、この言葉に乗せて表現しているのであって、「学校なんか行かなくていい!」って主張しているわけではないのでご理解のほどを。
ライブの様子はアーカイブでご覧いただけます。
https://youtube.com/live/TBlye5K4-oU
この日もテントサイトやログハウスでは、遅くまで語り合う子供たちや保護者、スタッフの姿がありました。
いつの間にか、みんな家族みたいに仲良くなって、安心できる存在になっていました。
<8月26日(土):第3日目>
【お別れの時が来てしまいました】
〜帰りたくない、また来ます、ありがとうと言う子供たちに涙〜
最終日は特にイベントはなく、お別れの時間までみんなで一緒に遊びました。
この日は、仕事の関係で一日早く隠岐の島を離れたBくんのお母さんの誕生日。みんなでお祝いのメッセージを送ろうということになり、きれいに海が見える海岸へ行って、全員参加の動画撮影。Bくんがみんなと一緒に「おかあさん、誕生日おめでとう!」と叫ぶ動画を、お母さんに送りました。
お母さん、嬉しかったでしょうね。
高速船レインボーでAさんが離島
お昼を食べてから都万キャンプ場を離れ、隠岐汽船ターミナルへ移動しました。
Aさん親子は高速船レインボーで隠岐の島を離れます。
高速船は見送りの紙テープを貼ることができないので少し寂しかったですが、食事を作ってくださった島の皆さんを含め、全員でAさん親子をお見送りしました。
Aさん、来たときの表情とはなんだか全然違って見えました。
レインボーに乗り込んだ後、見送りの人が見える席に座ってくれました。
レインボーでのさよならはあっという間ですが、ずっと手を振ってお別れしました。
少し時間があったので京見屋分店さんへ
レインボーを見送ってから、フェリーの時間まで少し時間があったので、キャンプの支援もしてくださった町の有名店「京見屋分店」さんへ行ってカフェしました。
お土産なども置いているとっても素敵なお店で、「隠岐の島へ来たらまず分店へ行け」と言われるほどのお店です。いろんな人が集う場所なんです。
お別れまでの時間を惜しむように、男の子同士3人で仲良く遊んでいる姿が忘れられません。
そしていよいよお別れの時が
15:10発のフェリーで、Bくん、Cくん、Dくんが離島します。
このお別れを隠岐のやり方で見送りました。7色の紙テープで別れゆく彼らを見送ります。
ちょっと大人ぶってクールなBくんが泣いています。
海であんなに大はしゃぎしてニコニコ過ごしてたCくんとDくんが神妙な面持ちです。
わずか2泊3日だけともに過ごしただけなのに、長く一緒にいた家族と離れるみたいな悲しい気持ちになります。
「ありがとうございました!また来ます!」
遠く離れゆくフェリーの上から聞こえる彼らの声に、涙が止まりませんでした。
大丈夫、隠岐の家族がついているから。苦しいことがあっても大丈夫だよ。
またいつでも隠岐の島へおいで。みんな待っているよ。
一人一人、育った環境も違うし、味わった苦しみや困難さも違う。彼らのこれまでの苦悩や思いは、その子しか分からない。僕らが簡単に理解してあげられるようなものじゃない。
渦中にいる親も同じ。その苦しみやつらさは学校の先生にもなかなか分かってもらえない。
でも今回、2泊3日を一緒に過ごし、島の人やお互いの優しさに触れたこと、楽しい経験や感動体験をともにしたことは、ここにいた全員の中に共通して存在し続ける感覚。
そこでみんなが感じた、「島のDNA」が教えてくれた心の中のちょっとした灯火みたいなもの。それぞれの今後の人生を切り拓く確かな自信をもたらす灯火。
明るい未来が待っている!
自分を信じて!
Love yourself first!
必ず来年もこのキャンプを行おうと誓いながら、小さくなっていくフェリーにいつまでも手を振り続けました。
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この島流しキャンプにご支援くださったすべての皆様に
心からお礼申し上げます。ありがとうございました。
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皆様からご支援いただいた資金は、次のように活用させていただきました。
<収入>
・クラウドファンディング 558,976円
・協賛金、寄付金 170,000円
・参加者、スタッフ負担金 195,000円
【収入合計】923,976円
<支出>
・輸送費(ジャンボタクシー等) 12,600円
・宿泊費(保護者用ログハウス・ゲスト用ホテル等) 105,160円
・旅費(ゲスト旅費、スタッフ旅費等) 196,276円
・謝金(ゲスト謝金) 100,000円
・保険料 13,345円
・食材、消耗品 127,178円
・飲物 17,289円
・施設利用料(キャンプ場、カヤックレンタル等) 77,110円
・活動費(竹ランプ道具レンタル、送料等) 37,525円
・広告費(クラファンリターンTシャツ、プレスリリース等) 184,024円
・郵送料(郵券、送料、収入印紙等) 21,912円
・設備費(ライブ配信用ケーブル等) 19,144円
【支出合計】911,623円
→ 残金 12,353円
※残金は次回キャンプへの資金として残させていただきます。